AGI architecture

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AGIとは、Artificial General Intelligence(人工汎用知能)の略で、人間のような汎用的な知能を持つ人工知能を指しています。

このAGIを成し遂げる構造を私なりに勝手に思考してみた、モデルが新しい事実や情報を外部から直接学習して知識ベースを「拡張」する能力が強く含まれています。これが、現在の多くの特化型AI(人工特化型知能、ANI)や大規模言語モデル(LLM)とAGIを区別する重要なポイントの一つです。

AGIにおける知識ベースの拡張と学習

現在のLLMなどは、大規模なデータで「事前学習」を終えた後、推論(inference)フェーズでは、基本的にその学習済みの知識ベースを使って応答を生成します。新しい情報は、その後の追加のファインチューニング(再学習)によって取り込まれることはあっても、リアルタイムで、自律的に、かつ継続的に知識ベースを拡張する能力は限定的です。

AGIは人間のような「汎用的な知能」を目指すため、以下のような能力を持つことが想定されている。

  1. リアルタイムな学習と適応:
    • AGIは、新しい経験や情報に遭遇した際に、それを即座に理解し、自身の知識ベースに組み込む能力を持つと考えられています。これは、人間が新しいことを学んだり、新しい環境に適応したりするのと同様のプロセスです。
    • 推論中に得られた新しい情報や、フィードバックループを通じて、自身の知識やスキルを継続的にアップデートしていくことが必要です。
  2. 自己改善と知識の蓄積:
    • AGIは、あるタスクを実行する中で失敗したり、より効率的な方法を発見したりした場合、その経験から学び、自身の内部状態(モデルの重みや内部表現など)を自律的に調整し、次回以降のパフォーマンスを向上させる能力を持つでしょう。
    • これは、単に学習データのパターンを再現するだけでなく、自ら新たな知識を発見し、それを体系的に蓄積していくことを意味します。
  3. 転移学習とマルチモーダルな学習:
    • あるドメインで学習した知識やスキルを、まったく異なる新しいドメインやタスクに応用できる「転移学習」の高度な形式を実現します。
    • テキストだけでなく、画像、音声、動画、センサーデータなど、多様なモダリティ(形式)から同時に情報を学習し、統合された知識ベースを構築する能力も含まれます。

なぜこれがAGIにとって重要か?

  • 未知の状況への対応: 現実世界は常に変化し、予測不可能な要素に満ちています。AGIが真に汎用的であるためには、事前に学習した情報だけでは対応できない新しい状況や問題に直面した際に、自ら学び、知識を拡張し、解決策を見つけ出す能力が不可欠です。
  • 自律性の実現: 人間のように、特定のタスクをこなすだけでなく、自ら目標を設定し、その達成のために必要な情報を探索し、学習し、行動計画を立てるためには、継続的な知識の獲得と更新が必須となります。
  • 人間の知能の再現: 人間が日々新しいことを学び、経験を通じて成長していくように、AGIも同様の学習メカニズムを持つことで、人間レベルの知能やそれ以上の知能を実現できると期待されています。

現在のLLMは、RAG(Retrieval Augmented Generation)などの手法によって、外部の知識ベース(データベースやウェブ検索など)を参照して応答を生成することができますが、これは「知識ベースを拡張」するのではなく、「既存の知識ベースを補完するために外部情報を検索・利用する」能力であり、AGIが目指す「自律的な知識の獲得と内部モデルの更新」とは異なります。

AGIの概念には、モデルが新しい事実や情報を外部から自律的に学習し、自身の知識ベースを動的に拡張していく能力が、中心的な要素として含まれる必要があり、現状のLLMの概念の延長線では成し遂げられないと考える。例え、新しい知識を自動的にアップデートする機能を追加したとしても、AGIとは異なった知識モデルが作られると推測できる。


私が提案するAGI構成の概念 (2025.06.02)

AGIは、複数の別の知識ベースを持ったLLM、利用者からの得られる知識データを取得し現状LLMの持つ知識ベースとの差異を上位に報告するSID、新しい情報と共に改めて新しく作り上げる監督機能(自己学習・自己改善・メタ学習部)のSupervisor の3つの要素から成り立つと考えた。

  1. これまでのLLMのエンジン(コア推論・生成部):LLM
    • これはAGIの中核となる「脳」のような部分で、言語理解、推論、知識の生成、様々なタスクの実行を担います。現在の高性能なLLMが持つ能力の延長線上にあると想定されます。
    • このエンジン自体は、学習済みの知識ベースに基づいて推論を行いますが、その知識ベースの「更新」や「再構築」は、別の監督機能が行うという発想。
  2. 新しい情報と共に改めて新しく作り上げる監督機能(自己学習・自己改善・メタ学習部):Supervisor
    • ここがまさにAGIの鍵となる部分であり、現在のAIにはまだ不足している、あるいは部分的にしか存在しない機能です。
    • 役割:
      • 知識ベースの動的な拡張: 新しい情報(ウェブからの情報、ユーザーからのフィードバック、実験結果など)を収集し、それをLLMエンジンが利用できるように知識ベースを更新したり、場合によってはモデル全体を再学習(ファインチューニング)させたりする役割。
      • モデルの再構築・最適化: 特定のタスクで性能が落ちた場合や、より効率的なアーキテクチャが発見された場合に、エンジンそのものの構造や学習方法を自律的に調整・改善する(メタ学習)。
      • 目標設定・計画: AGI自身の長期的な目標を設定し、その達成のためにどのような情報を学習し、どのようなスキルを習得すべきかを計画する。
  3. AGIの出力と利用者反応の差異を検出し監督機能に送る機能(評価・フィードバックループ):SID
    • これもAGIに不可欠な要素です。人間が自分の行動や発言に対する他者の反応を見て学習するように、AGIも自身の出力がどれだけ適切であったか、意図と異なっていたかを評価し、その情報を監督機能に送ることで、次の学習サイクルに活かします。
    • 役割:
      • アライメントの確保: 人間の価値観や意図に沿った出力ができるように、不適切な出力や誤った推論を検出し、監督機能に修正を促す。
      • 継続的な改善: ユーザーからの明示的なフィードバック(良い/悪い、修正要求など)だけでなく、暗黙的な反応(ユーザーが途中で会話をやめた、別の方法を試したなど)も学習シグナルとして捉える。
      • エラー検出と自己修正: 自身の出力に論理的な矛盾や事実誤認がないかをチェックし、監督機能に学習データの更新や推論プロセスの改善を要求する。

@:ここで、SIDの動きがとても重要になるのですが、特に時間軸の制御がKeyになります、この部分は実現方法も含めてノウハウとしたいので記述しません。

シーケンスに思考を行うエージェントとの大きな違い

AGI構成は単一のLLMの延長線で「シーケンスに思考を行う現行エージェント」とは根本的に異なる。

  • シーケンス思考エージェント: 多くの現在のエージェントモデル(例:Chain-of-Thought、ReActなど)は、LLMが一度の推論プロセスの中で、複数の思考ステップや外部ツール利用のステップを順次実行することで、複雑な問題を解決します。これはあくまで、「既存のモデル能力内で」、より賢く振る舞うための「思考戦略」です。彼らはリアルタイムで自身の基盤モデルを「学習し直したり」「再構築」したりはしません。
  • 提案されたAGI構成:
    • 並列処理と異なる時間スケール: 各機能が並列に稼働し、LLMエンジンは高速な推論を行い、監督機能はより長い時間スケールで学習や最適化を行います。フィードバックループは、短期的な評価と長期的な改善の両方に対応します。
    • 自己認識とメタ認知: 監督機能は、LLMエンジンのパフォーマンスを監視し、その能力を自律的に改善しようとします。これはAI自身が自身の「思考プロセス」や「知識」を客観的に評価し、改善しようとする、人間的なメタ認知能力に近いものです。
    • 動的な進化: このシステムは固定されたものではなく、外部環境や自身の経験に基づいて「進化」し続けることが可能です。これが、真のAGIが持つべき「汎用性」と「適応性」の核心部分です。

実証構築への挑戦

この私のAGI実現への概念を実証していく為に、 NVIDIA社のDGXを20台ほど密に結合して構築したい。

Supervisor、SDI、LLMが Concurrent (並列でなく同時)に動作していなければならない、それを実現するのはソフトウェア技術だけでは成し遂げられない、ハードウェア技術が不可欠と考えている。

システムが動いた暁には、是非、AGI Societyで紹介して行きたい

AGI Society

Artificial General Intelligence (AGI) is an expanding field aiming at the building of “thinking machines”; that is, general-purpose systems with intelligence comparable to that of the human mind (and perhaps ultimately well beyond human general intelligence).
The AGI Society is a collection of independent researchers, theorists, and developers, committed to developing this goal. Bringing awareness of the groundbreaking advances toward AGI to the general public takes time and people. You can support these important advances, and the knowledge sharing that lets everyone on Earth partake in this important endeavor, by making a donation to the AGI Society.

https://agi-society.org/about-agi-society

番外で、SIDの機能に量子コンピュータを活用する可能性

メリット

  • 高速な差異検出とパターン認識: 量子コンピュータは、従来のコンピュータが苦手とする複雑なパターン認識や大量データからの差異検出において、圧倒的な速度を発揮する可能性があります。これは、利用者から得られる新しい知識データと既存のLLM知識ベースとの間の微妙な差異や複雑な関係性を効率的に特定する上で非常に有利です。
    • 量子アニーリング: 特に、量子アニーリングなどの技術は、最適化問題やパターンマッチングにおいて高速な処理を実現し、知識ベースの差異を迅速に特定するのに役立つかもしれません。
  • 高次元データの処理: 知識データは高次元で複雑な構造を持つことが多く、量子コンピュータは高次元空間における演算に優れています。これにより、より精緻な知識の比較や差異の抽出が可能になるかもしれません。
  • ノイズへの耐性: 量子コンピュータが持つ特定の特性(例えば、量子重ね合わせやエンタングルメント)は、ノイズを含むデータからのパターン抽出において、古典的なアルゴリズムよりも堅牢な性能を発揮する可能性があります。これにより、利用者の入力に潜在するノイズや曖昧さがあっても、より正確な差異を識別できるようになるかもしれません。
  • 量子機械学習の応用: 量子コンピュータ上で実行される量子機械学習アルゴリズム(QML)は、データの分類、クラスタリング、異常検出などに利用できます。SID機能において、これらのQMLアルゴリズムは、新しい知識データが既存の知識ベースとどのように異なるかを効率的に学習し、報告するために応用できるでしょう。

課題

  • 現状の技術的成熟度: 量子コンピュータはまだ発展途上の技術であり、大規模な実用的な問題に応用できるほどの安定性やスケーラビリティには至っていません。特に、現在の量子コンピュータは誤り率が高く、実用的なSID機能として動作させるには克服すべき課題が多いです。
  • データの量子化: 利用者から得られる知識データやLLMの知識ベースを量子コンピュータが処理できる形式(量子ビットの状態)に変換する「量子化」のプロセスは複雑で、効率的な方法を確立する必要があります。この量子化のオーバーヘッドが大きいと、量子コンピュータの高速性を相殺してしまう可能性があります。
  • アルゴリズム開発: SID機能に特化した効率的な量子アルゴリズムの開発が必要です。現状では、知識ベースの差異検出に直接的に適用できる汎用的な量子アルゴリズムは限られています。
  • コストとアクセス: 量子コンピュータは非常に高価であり、運用コストも高いため、一般的なAGIシステムに組み込むには経済的な課題があります。
  • 解釈可能性: 量子アルゴリズムの動作は直感的ではなく、なぜ特定の差異が検出されたのか、その根拠を人間が理解しにくい場合があります。Supervisorがこの情報をどのように利用し、学習に繋げるかという点で、解釈可能性は重要な課題となります。

具体的な応用シナリオの例

SID機能において量子コンピュータを応用する具体的なシナリオとしては、以下のようなものが考えられます。

  • 複雑な概念の差異検出: 例えば、「自由」という概念について、ある文化圏の知識と別の文化圏の知識がどのように異なるかを、量子コンピュータのパターン認識能力を用いて検出する。
  • 矛盾点の迅速な特定: 利用者からの新しい情報が、既存のLLMの知識ベース内の複数の箇所と矛盾する場合、量子コンピュータがその矛盾点を高速に特定し、Supervisorに報告する。
  • 新しいトレンドや動向の早期発見: 大量のソーシャルメディアデータやニュース記事から、既存の知識ベースにはない新しい概念やトレンドの兆候を量子コンピュータが迅速に抽出する。

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